もうすこしで天竺

読書記録など。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

映画『虐殺器官』【ネタバレあり】

近未来を舞台にしたSFアニメ。原作をもうずいぶん前に読んだことがある。 特殊部隊隊員が貧しい国で頻発する虐殺の背後にいるという男に迫る。男はマサチューセッツ工科大学で言語学を修め、その際、人間が生得的にもつ「虐殺器官」を言語によって刺激する方…

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』

なんとなく手に取って数時間で一気読み。なかなか雰囲気を感じた。 3章構成。第1章で子供が「灯台に行きたい」という。結局灯台には行かず、第2章で大きく時間が流れる。第3章で、年を取ったり大人になったりした登場人物たちが灯台を訪れる。 「意識の流れ…

アニメ『刻刻』【ネタバレあり】

Netflixで出てきたので、なんとなく1.5倍速で一気見。なかなか楽しめた。 タンマウォッチで静止した世界で、半グレを雇った宗教団体とある家族が争う。ワンクールしかやらないことが決まっている作品と思われ、一人一人の人物に見せ場と退場(現実の時間に戻…

映画『三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実』

東大900番教室で行われた、三島由紀夫と東大全共闘との討論会の記録。 特に三島のファンというわけでもないのだけど、なんとなく彼の人生には興味がある。ぼんやりと見ていたのだが、かなり面白かった。 三島の語り方でいちばん印象的なのは、内田樹が映画内…

映画『ザ・ターニング』【ネタバレあり】

ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』を原作とした映画。 ある屋敷に住み込みの教師として兄と妹の二人を教えることになったケイト。だが屋敷はいかにも幽霊屋敷然としており、二人の教え子も、お手伝いさんもどこか不気味な雰囲気を漂わせている。 『ねじ…

ウォレス・スティーヴンズ "The Noble Rider and the Sound of Words"

まさに「瞑想」という表現がふさわしい詩論。 冒頭にはプラトンの『パイドロス』が引用されている。羽の生えた二頭の馬とその御者。天上の不滅なる存在と地上の滅ぶべき存在が、いかに異なるか。スティーヴンズはプラトン(および語り手のソクラテス)の話が…